mitsukiのお気楽大作戦

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あずき洗い

e0078674_14363699.jpg埼玉県川越市下小坂には、かつて小豆婆という妖怪が現れたそうです。

現在下小坂公民館が建っている場所は、西光寺という新義真言宗智山派の廃寺跡で、樹木がうっそうと生い茂り、日中でもうす暗くてさみしいばかりではなく、うす気味悪い所だった。だから、村の人はふだんはここへは近づかず、「ならいどの捨場」といって、瀬戸物やガラスの破片、トタンの切れ端し、あるいは鳥や犬、猫の死んだのを捨てていた。いつの頃からか、雨模様の夕方などはここから、
  ギショギショ  ザクザク
と、まるで小豆をといでいるようないやな音が聞えるといううわさがたった。だれ言うとなく、あの音は小豆婆が小豆を洗う音で、小豆婆は子供を捕えては食ってしまう恐ろしい婆と言われるようになった。
だから下小坂では、親の言うことをきかない子供や夕方遅くまで遊んでいる子には、
「小豆婆にさらわれてしまうぞ」
と言ってしかったものだという。

  川越の民話より


誰も居ない筈の場所に、誰か居るかのような物音がする。
でも、音の主は正体を現わさない。
そんな恐怖が、小豆婆の本質なのでしょう。
民俗学者の柳田國男氏によれば、小豆婆は小豆洗いとも呼ばれ、北海道と沖縄を除く全国各地に伝承が残るとても有名な妖怪なのだそうです。
それにしても、似たような音は他に幾らでもあるのに、姿を見せないこの怪異がどうして小豆を洗っていると決め付けたのか、柳田國男先生も首を傾げたそうですが、普通にあんパンを食べている私たち現代人にはピンと来ない話のようですけど、かつて小豆は、特別な日にしか食べない特別な食材だったのと関係があるようです。
お赤飯がその代表で、おはぎ、牡丹餅、柏餅など、数え上げたらキリがありません。
小豆じゃなくて大豆も、節分の日には鬼を追い払うのに撒きますし、お稲荷さまに捧げる油揚げは、大豆の生成品です。
けれども、恐ろしい鬼が豆をぶつけたぐらいで逃げていくとも思えませんし、お稲荷さまは狐だから油揚げが好物だとかいわれても、本当に狐なら油揚げより生肉のほうが好きでしょうに、どうも無理矢理こじつけてるとしか思えない節があります。
肉といえば、羊羹は読んで字の如く羊のスープだったものが、肉食を戒める禅僧によって小豆に換えられたとか、牡丹餅も、猪鍋を牡丹鍋というように元々は猪肉だったものが小豆に換えられたとか(詳しくはコチラ)やはりここでも小豆が登場します。
古代、人間が狩猟を放棄して動物の肉から得る事が出来なくなったタンパク質やビタミンを小豆や大豆は多く含んでいて、それらを積極的に摂る事が大事だと、科学というものがなかった昔の人は経験から知っていたのでしょう。
それにしても、お稲荷さまがいまだ現役の神様として活躍しており、鬼も退治されるという損な役回りながら節分の日には欠かせない存在なのに、小豆婆、小豆洗いはいまいち有名じゃないのがちょっとかわいそうです。
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最後に、調べていて偶然見つけた、本当にあったという不思議な話をひとつ。

幼稚園のとき、母の実家に遊びに行った。H県のものすごいド田舎。

しばらく家の中にいると外から
「遊ぼう~」
と声がするので外を見るとどこかの姉と弟らしい子供が2人いた。
「ちょっと遊びに行ってくる」
と言って外へ出て、田んぼの畦で遊んでいた。
すると近くを流れていた小川の方から
ざくざく、ざくざくっていうザルで碁石を洗うような音が聞こえてきた。
3人で音のする方に行ってみたが誰もいない。
でも音だけはざくざく、ざくざくって聞こえている。

「あずき洗いだ!」
おねえちゃんがそう言って一目散に逃げ出したので、
急に怖くなって後ろも見ずに家に走って帰った。

家に帰って母にそのことを話すと、
「誰と行ったって?」と、そちらの方が不思議そうな顔。
「どっかのおねえちゃんと男の子、遊ぼうって迎えに来たじゃん!」
と言ったら、
「あんたの出て行くの見てたけどずっと一人だったよ」

一緒にいたじいちゃんとばあちゃんも声も聞かなかったし、
そんな子迎えに来なかったと証言し、
「狐にでも誘われたんだべ」と言われた。

なんか二重に不思議な体験だった。


小豆洗いは子供を捕えては食ってしまう恐ろしい妖怪ではなく、子供の健やかな成長を見守る神様なのかもしれません。
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by sweetmitsuki | 2009-11-14 14:42 | おどろけー | Trackback | Comments(2)
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Commented by saheizi-inokori at 2009-11-17 09:03
見たり聞いたりは脳の仕事ですからホントに見たり聞いたりしているのですよね。
Commented by sweetmitsuki at 2009-11-17 17:54
子どもの頃、突然の夕立ちに雨宿りしていると、見慣れている筈の帰り道が違う景色に見えてきたりしましたっけ。
あれも小豆婆の仕業だったのでしょうか。