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石油が原料のプラスチックで出来たエコ箸とかいうのを石油が原料の洗剤で洗って使うのと、間伐材で作った割り箸を使って使い終わったら発電所の燃料として再利用するのと、どちらが地球に優しいと思いますか?
自然エネルギー先進国といわれているデンマークでは、可燃ごみを発電所の燃料に使うのは常識中の常識なんですけど、残念な事に日本では、せいぜい公営プールの水を温めるぐらいにしか使われていません。 同じ事を何度も何度も繰り返すようですけど、もしも日本がデンマークのような福祉国を目指すのなら、こういうシステム論から見つめていかなきゃいけないんです。 何も知らないくせに精神論だけ唱えて、消費税の増税も止むなしなんて安易な事をいうべきではないんです。 私、この件では本気で怒っていますからね。 以前私は冗談半分で、日本人なら日本人らしく森林資源を使って石油資源の依存から抜け出すべきですみたいな事をここに書いたのですけど、本当にそれを実現させようと真剣に取り組んでいる人たちがいる事を、この本で初めて知りました。 石油に頼らない ―森から始める日本再生― 養老孟司+日本に健全な森をつくり直す委員会 編著 北海道新聞社刊 石油や石炭は掘りつくしてしまえばそれで終わりですけど、森は生きているので、上手く付き合えば永遠に人類と相互扶助関係を築く事が出来るのです。 それについては、良い話と残念な話があります。 良い話とは、日本は国土の2/3が森林で、資源に満ち溢れているという事。 残念な話とは、日本の林業はヨーロッパに比べて、30年以上も遅れているという事。 日本にも伝統的な林業はある事にはあるのですけれども、それは例えば伊勢神宮の宮域林のような特殊なもので、利益を出せてそれでいて持続可能な林業というと、一からやり直さなければならないそうです。 日本の林業が衰退したのは安い輸入材が入ってきたから(この認識そのものが事実誤認なのですけど)といわれているので木材は人件費の安い途上国から来ていると思っていましたが、世界で使われている産業用木材の2/3は、ヨーロッパをはじめとする先進国で栽培されているのだそうです。 しかも木材を輸出している国の林業者は、日本の林業従事者よりも高い報酬(賃金だけではなく社会的地位も含めて)を得ています。 それなのに、地球の裏側まで高い輸送費を払って(ここでも石油が使われている事に注目)運んで来てもコストが合っているという事は、法隆寺の歴史を持つニッポンは、ブーフーウ―の国に木の文明で負けてしまっている事を、素直に認めざるを得ません。 具体的な例を挙げてみますと、ドイツの主要産業といえばベンツやBMWといった自動車産業ですけど、ドイツで自動車産業に従事している人は70万人なのに対し林業従事者は100万人で、一大産業群を形成しているのです。 ドイツの森林面積は1000万ヘクタールですが日本の森林面積はその2.5倍の2500万ヘクタールですから、もしもドイツのような林業が日本に根付けば、大雑把に計算して250万人の雇用が確保出来るのです。 もちろん課題は山積みです。 日本の森林には道がほとんどありませんから裾から全部切ってしまわなければ運び出す事が出来ず、これでは持続可能な林業は無理です。 木を切って運び出す機械も、日本の物は時代遅れで新しいものに換える必要がありますし、とにかく巨額の費用がかかる上に、何より政治力が必要です。(管直人総理大臣も日本に健全な森をつくり直す委員会のメンバーなんですけどね。) それでも、今の日本に一番必要なのは、未来に対する夢なのではないのでしょうか。 木は成長の遅い生き物で、材木として使えるようになるまでに100年を要します。 22世紀の日本は、どうなっているのでしょう。
by sweetmitsuki
| 2010-12-29 10:12
| 原始人ごっこ
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Comments(10)
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antsuan at 2010-12-29 11:23
不思議なことに、税法上、医療保健業は収益事業なのですが、林業は非収益事業なのです。つまり儲けちゃいけない事業なのです。
お宝はお役人が直接管理するものなんでしょうね。(+_+)
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sweetmitsuki at 2010-12-29 11:52
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kaneniwa at 2010-12-29 23:41
この 原始人ごっこ というカテゴリー名、好きなんです。
原子力より原始力。 今年の秋から念願の薪ストーブを設置して ますます同感いたします。 もともと間伐材を利用した優秀な製品がほとんどなんですから もっと国産割り箸を使った方がいいと思います。 問題は、使った後にゴミになっちゃうのですね。 森に限らず、多くの自治体で焚き火が禁止されているので 庭の木々を育んでおられる方々は、 枝落としなどの作業で出たものを多額の費用をかけて 「ゴミ」 として処理をしなければならなくなっています。 費用の負担もさることながら、「ゴミ」として扱われる 精神的なダメージも重なって 「もう庭の木はやめ」 という家が増えてしまっています。 BYマーヒー
もともとは、田畑として使えない傾斜地に植林していた杉の木を、今では耕作意欲を失った農地にも植林しています。
「荒らしたくないからなあ」 農地が原野に還ることを嫌っての措置です。残念ながら、植えっぱなしで管理にまでは及びません。里山には、伐採される当てのない成長した杉の木が林立しています。 炭を焼かなくなったために、雑木林は新陳代謝が進まず疲弊しています。今や森林は資源ではなくなりました。
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saheizi-inokori at 2010-12-30 09:25
時々目覚めるのですが、いつの間にか世の中に押し流されぬくぬくとしています。
どうすればいいのか。読んでみます。
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sweetmitsuki at 2010-12-31 09:26
マーヒーさま
念願の薪ストーブ、素晴らしいです。 私も、庭の雑草や生ごみを、有用微生物群(EM)の力で堆肥にする装置を設置して、及ばずながらごみ削減に努めています。 明るい未来のために出来る事、難しいですけど探せばもっと見つかると思います。
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sweetmitsuki at 2010-12-31 09:34
umeさま
その、資源ではなくなってしまった森林を、これから100年かけて資源に戻して行こうという取り組みなのですけど、結局はお役所任せというのが頭の痛いところです。 まずは炭の需要を伸ばすために、アウトドアクッキングをもっと頻繁にする事から始めてみましょうか。
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sweetmitsuki at 2010-12-31 09:37
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saheizi-inokori at 2011-01-05 10:13
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sweetmitsuki at 2011-01-05 20:33
リンク&TB大歓迎です。
以前、神でも仏でもない狐を拝んでいる日本人は不思議な民族ですみたいな事を書きましたけど、ドイツにもヴァルプルギスの夜祭という、森に棲む魔女の祭を催す風習があるのだとか。 森が生命の源であり、人間も生き物の一員だという考えは洋の東西を問わず一緒ですね。
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