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身近な妖怪ハンドブック
川村易 著 文一総合出版刊 (試し読みはコチラ) 道を歩いていて、名前も知らないきれいな花を見つけて、名前を知りたいと思ったことはありませんか? この出版社は本来、そういった読者のためにいくつものハンドブックを出版していたのですが、何をとち狂ったのか、こんな本を出していました。 身近に妖怪なんているのか? 妖怪って本当にいるのか? 素朴な疑問は満載ですが、そもそも、妖怪とは姿が見えないもので、姿が見えないからこそ妖怪なのです。 ですが、図鑑を刊行するにあたって、姿が見えないではそれこそ絵にならないので古今東西人間はあらゆる知恵を振り絞って妖怪を描いてきました。 たとえばの話、学校で放課後、誰もいないはずの音楽室からピアノの音が聞こえてきたという話を聞いたことがありませんか? 学校の怪談としては有名な逸話のひとつですが、ふつうそんな音が聞こえてきたら 「夕刻で近くの工場も操業を停止して静かになったから、遠くで響いていたピアノの音が急に近くで聞こえるようになったんじゃないか。」と、もっともらしい答えを考えつくものですが、 本所七不思議のひとつ、狸囃子の怪異の部類に当てはまるのですけど、最近ではこのピアノ妖怪に、違う解釈がなされてるようです。 ひとつは、ピアノ好きだった生徒が不慮の事故で亡くなり、その魂は成仏できずに今もこの世でピアノを弾いているという憑依霊タイプ。 この妖怪を絵にするときは、故人の姿で描かれているものなのですが、誰も故人の姿なんて覚えちゃいないので、ベートーベンのような、教科書に載ってる音楽家の肖像画みたいな姿にされてしまっています。 別の解釈として、年を古く経たピアノが妖怪化した付喪神タイプがあります。 こちらは、鍵盤が歯になって屋根板の下から目が覗いているようなお化けピアノの姿で描かれています。 このように、想像力たくましい人間は姿の見えない妖怪を絵に描いてきましたが、それではすべての妖怪が目に見えないのかというと、そんなことはありません。 昔の刀匠、村正が鍛えた刀は、持つ人間を殺人鬼に変える魔力があるといいますから、これなどは妖怪以外のなにものでもありません。 椅子文化が定着していない日本では、まだ馴染みが薄いかもしれませんが、西欧では座った人間を祟り殺してしまう妖怪椅子がいます。 日本にも、幽霊が憑りついている竈の話がありますが、これはもっと凶悪な妖怪です。 椅子というのは、単に座る道具ではなく「社長の椅子」「総理の椅子」と、いうように権力を意味しますから、その座を巡って激しい争いが起き、幾人もの犠牲者が出ると、椅子はその血を啜って自ら妖怪化し、人を襲うようになるのです。 暗闇で傘のお化けが大きな目玉と長い舌で人を驚かすのは、怖いですけど面白いし楽しいので会ってみたい気もするのですが、権力の椅子に取り憑かれた亡者どもが果てることのない醜い争いを続けるのを見せつけられるのは、勘弁してほしいものです。 せめて、前者が現実で、後者が夢幻であってくれればいいのですけど。 でもこれ掘ると白黒の車呼ばれちゃいますから掘ってはいけません。 でも本当に食べられるんでしょうか。ハンドブックで調べてからにしましょう。
by sweetmitsuki
| 2015-04-11 12:55
| おどろけー
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Comments(2)
Commented
by
saheizi-inokori at 2015-04-11 21:51
家具屋の親子が椅子を巡って争ったのも妖怪の仕業かな。
仏蘭西ではナチスの亡霊が娘と大喧嘩。
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Commented
by
sweetmitsuki at 2015-04-12 05:11
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