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mitsukiのお気楽大作戦


手作り雑貨と原チャリ放浪と雑学で綴る、実践お気楽ライフ
by sweetmitsuki
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花咲く森の道クマさんに出会った

花咲く森の道クマさんに出会った_e0078674_20215489.jpg
森の中で熊に遭遇したらどうすればいいでしょう。
逃げるのがいちばんですが、俊足の熊に逃げ切れる可能性は低いです。
死んだふりというのは迷信で、まったく効果がないそうです。
熊は蛇が苦手だからベルトを蛇に見立ててくねくね動かすというのは効果がないわけではないそうですが、かなりの演技力が必要で素人が即興でできそうにありません。
ではどうすればいいのかというと、言葉で説得するのがいいそうです。
もちろん熊に人間の言葉はわかりませんが、蛇のように小さな躯体でも自分を脅かすポテンシャルを持つ生き物がいることを熊は知っています。
熊を相手に怖れず逃げもせず対峙すれば、警戒心の強い熊は襲ってこないそうです。
と、本に書いてあったのですが本当に森で熊に出会って言葉による説得を試みて効果がなかったとしても私を恨まないでくださいね。
花咲く森の道クマさんに出会った_e0078674_20323542.jpg
アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」
中川裕 著
集英社新書 刊
「ゴールデンカムイ」というアニメをご存知でしょうか。
函館戦争で戦死した土方歳三が実は生きていて、小樽で隠居していた永倉新八とともにアイヌの隠し埋蔵金を発掘してそれを軍資金に理想国家を建設すべく縦横無尽の大活劇を繰り広げるという歴史浪漫です。
ただし主人公は土方歳三ではなく埋蔵金の在り処を知る唯一のアイヌ、ウイルクの愛娘アシリパ。少女と白いオオカミというとジブリの「もののけ姫」と被りそうですがパクリという印象はありません。
このアニメでいちばん面白いのは、まだ十代前半の可愛らしい少女アシリパが北海道の希少な野生動物を片っ端から殴り殺して食べてしまうところ。
こんなふうに書くと残酷なアニメのように思いますけど、軍の追跡を逃れるため野営しながら旅を続けているのでサバイバル生活は当然でしょう。
その他、物語の中にアイヌの狩猟、食文化、生活様式、信仰などが詳細にわたり紹介されていて、思わず見惚れてしまいます。
この本は単なるアニメの解説書に留まらず、アイヌの目線から日本近代史を捉えるという画期的な内容となっているのでアニメに興味のない人にもお勧めです。
というか、シサム(隣人を意味するアイヌ語。本州以南の日本列島に住む人のこと)の歴史しか知らないのに日本史を語るなかれ。この本を読んでアイヌの歴史を勉強してから日本史を語るべし。とまでいいたくなるようなボリューム。
花咲く森の道クマさんに出会った_e0078674_21081217.jpg
私を含め、シサムはかなりアイヌを誤解していたようです。
いちばん大きな誤解は、そうはいってもアイヌ文化を現代に復元するのは不可能でしょ。という誤解。
アイヌは動物や自然現象の他、刃物などの人工物をもカムイとして扱うのですが、その感覚でいうとスマホもカムイということになります。
変に感じるかもしれませんがスマホの使い方を誤りフリーズさせてしまった時「スマホの機嫌を損ねてしまった。」と感じるのは現代のシサムも同じでしょう。それは、スマホを単なる物ではなく人間と同格に扱っているからに他なりません。
シサムとちょっと違うのは、たとえば水のカムイというと水を司る神さまがいて人間に水を授けてくれるというような感じですが、そうではなく水そのものがカムイなのです。ですがキッチンに天ぷら油の残りを流せば水が悪くなってやがて水が飲めなくなってしまうのは、シサムもアイヌもよその国も同じことです。
アイヌ文化とは決して絵空事ではなく、もっと合理的な世界観からきているのです。
原作のマンガは今でも週刊誌に好評連載中で、アニメは三期も企画中。
本読んでからアニメ見るか、アニメ見てから読むか、それともマンガから読むか。
どこから入っても面白いこと間違いなしです。




by sweetmitsuki | 2019-04-18 21:32 | おどろけー | Trackback | Comments(6)
Commented by saheizi-inokori at 2019-04-18 23:33
先日はスマホのカムイを怒らせてしまったのかなあ。大事にしているのに。
Commented by sweetmitsuki at 2019-04-19 05:50
佐平次さま
カムイを怒らせてしまったらカムイノミをしてカムイの怒りを鎮める(つまりスマホを修復する)のですが、これはトゥスクル(専門家)でなくとも知識があれば一般人にもできるそうです。
その後スマホのカムイは機嫌を直してくれましたでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2019-04-19 23:24
今のところは、此れもスマホからです。どうもスマホ依存が募っているなあ。
Commented by sweetmitsuki at 2019-04-20 06:09
正月のおせち料理に欠かせない、「よろコンブ」の語呂合わせで入っている昆布は北海道でしか採れないもので、つまりはそれだけ昔からアイヌの交易品はシサムの文化形成に欠かせないものであったようです。
その歴史は源氏による奥州藤原氏滅亡、あるいは坂上田村麻呂の東征にまで遡るといわれ、奥は深いです。
Commented by antsuan at 2019-04-25 19:46
万物に神々が宿っていると云う考えは、大和魂そのものですね。つまり、日本の神話はアイヌ(蝦夷)から受け継いだと云って間違いないと思います。
地政学から見ても名古屋までは蝦夷でしたし、縄文人のDNAは沖縄とアイヌに一番残っていると云われています。
アイヌ文化はしっかりと日本の伝統の中に息づいていると思います。
Commented by sweetmitsuki at 2019-04-27 05:42
あんつぁん
アイヌは縄文人の末裔といってもあながち間違いではないのですが、アイヌは縄文人と同じ生活をしていたわけではないそうです。
万物に神が宿り等しく価値を持つという考えは、狩猟によって得たものを工芸品と物々交換するという近隣の諸民族との交易を通じて培われたもので、縄文時代にはそのような考えはまだなかったと本に書いてあったので、私も衝撃的でした。
いずれにせよ、大陸の華夷秩序と分断されていた地域ならではの世界観なのです。
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